広島高等裁判所 昭和24年(う)223号 判決 1949年12月22日
被告人
竹岡慧
主文
原判決を破棄する。
被告人を懲役拾月に処する。
理由
弁護人栗原良哉の控訴趣意第一点について。
原判決は証拠調を経ない書証を援用して犯罪事実を認定した違法があるというのである。よつて本件記録を精査するに原判決の援用した檢察事務官河井幸雄作成に係る加藤シメに対する供述調書は本件公判調書中これが証拠調をなしたる事跡のないこと所論の通りである。仮令自余の証拠により犯罪事実が認定せらるるとしても苟も証拠調をなさざる書証を援用し之を綜合判断に供したる以上判決に影響を及ぼすものと認むるが相当で訴訟手続は違法であるから論旨は理由がある。